サヤ取り・ロングショート戦略とは
ロングショート戦略とは
金融業界では「買い」をロング・「売り」をショートと呼びます。
- 投資対象の「買い」=「ロング」
- 投資対象の「売り」=「ショート」
ロングショート戦略は、将来上昇が期待される銘柄を買い(ロング)、それと同時に下落が期待される銘柄を売る(ショート)両建て投資戦略です。
ロングショート戦略は、相場全体が上昇・下落どちらに動いても市場の変動に左右されない安定した運用が可能な海外ヘッジファンドの投資手法です。
一般的には、割安な銘柄を買い・割高な銘柄を売る構成を基本としますがロングショート戦略は、様々な応用が可能です。
基本構成とは反対に上昇トレンドの銘柄を買い、下落トレンドの銘柄を売る事で利益を狙う事も可能です。
ロングショート戦略は「何を買って」同時に「何を売るか」の選定条件が重要です。
買いと売りを同時に保有する事を総称して「両建て売買」、その他に「サヤ取り」「アービトラージ」などと呼ばれるケースもあります。
売り(ショート)の説明
一般的に投資と聞くと「安く買って高く売る」値上がりした分が利益になる「投資=買い」のイメージが強いと思います。
しかし日本の個人投資家にあまり知られていませんが投資の世界では、値下がりを予想して利益を狙う事も出来るのです。
この値下がりを狙って売りを仕掛ける事を「ショート」と呼びます。
- 買い(ロング)= 値上がりした分が利益・値下がりした分が損失
- 売り(ショート)= 値上がりした分が損失・値下がりした分が利益
売り(ショート)は、値下がれば、値下がった分が利益になります。
下落すると利益が出る売り(ショート)を利用すれば、下落相場でも利益を狙うことができます。
株式投資の場合、上昇相場では現物取引で株式を買い、下落相場では売り(ショート)をすることで、どのような相場トレンドのときにも利益を狙う事ができるのです。
売り(ショート)に対する個人投資家の認知度はまだまだ低いのが現状です。
また世間一般的に売り(ショート)は「リスクが高く、危ない投資」というイメージがあるかもしれません。
使い方次第ではリスクをヘッジ出来ますが、間違った使い方をすると大ケガする可能性もあります。
しかし売り(ショート)を正しく理解して活用する事が出来れば買い(ロング)だけでは不可能な、より高度な投資戦略を組むことが可能です。
この売り(ショート)の原理がロングショート戦略にとって重要です。
上がれば儲かるロングと下がれば儲かるショートを同時に保有する事によって日々上下変動する金融市場の波を抑えながら安定して利益を狙う事が出来るのです。
ロングショート戦略の仕組み
上がれば儲かるロングと下がれば儲かるショートを同時に保有する事によって、日々上下変動する金融市場の波を抑えながら安定して利益を狙うのがロングショート戦略の仕組みです。
ロングショートの構成
- 株価が上がると予想する銘柄を買い(ロング)
- 株価が下落すると予想する銘柄を空売り(ショート)
ロングショート戦略の実例として、具体的に日本を代表する銀行の「三菱UFJ」と「三井住友」を例に解説します。
日本に上場する同じ銀行業の株式ですので、下記の株価比較チャートを見ても分かるように普段から株価は、非常に似た推移をして動いています。
「三菱UFJ」と「三井住友」の株価騰落率比較チャート
株式市場全体が上昇している日には、2銘柄とも株価は上昇し、株式市場が下落している日には、2銘柄とも株価は下落しています。
2社の株価はどちらも直近1年間で約40%以上下落している事が分かります。
1年前に100万円分の株式を買い保有していた場合は、40万円損しているイメージです。
もし仮にレバレッジをかけて投資した場合は、運用資金は全て無くなっていてもおかしくないほどの大きな下落といえるでしょう。
しかし「三菱UFJ」と「三井住友」のどちらかの株式を買い、もう一方の株式を空売りしていた場合は、上記のような長期の下落でも全く心配する必要はありません。
ロングショートの保有例
- 買い(ロング):三菱UFJ
- 売り(ショート):三井住友
買い保有している三菱UFJは約40%の損失になっておりますが、同時に売っている三井住友は約40%の利益になり2社の損益の合計は相殺されるからです。
ロングショートの損益例
- 買い(ロング):三菱UFJは、-40%の損失
- 売り(ショート):三井住友は、+40%の利益
この2銘柄を両建てしている際に、万が一リーマンショックのような金融危機や大きな震災やテロのような突発的に株式市場が暴落したとしても、両社の株価は、ほぼ同じパーセンテージで下落する事が予測できます。
上記のように「買い」と「売り」を同時に組み合わせる事で下落相場でもショートの利益がロングの損失をカバーしてくれるのです。
暴落の反対に相場が大きく上昇した場合は、上記の損益が逆転します。
ロングショート戦略は、2銘柄の損益を足し引き合計して考えます。
ロングショート戦略は、個人投資家には馴染みのないニッチな投資戦略ですが海外のプロ投資家の多くが基本戦略として使う伝統的な投資戦略です。
両建て売買の理論は、投資の世界において非常に効果が高く、その理論を個人投資家が理解すると投資戦略の幅も大きく広がることでしょう。
ロングショート戦略の目的
ロングショート戦略を行う最大の目的は、金融市場の変動をリスクヘッジする事にあります。
リスクヘッジとは、将来起こりうるリスクの回避や、リスクの大きさを小さく軽減するように工夫することを意味します。
数学分野のゲーム理論に「ミニマックス法」という考えがあります。
ミニマックス法とは、想定される損失が最小になるように決断を行う戦略のことです。
簡単に説明すると「ミスをしない」という事を意味します。
将棋、チェス、オセロのように定石がある知的ゲームでは、1手悪手を打つと状況が悪くなり負けてしまいます。
つまり素晴らしい良手を狙うのではなく、悪手を打たないに専念することで結果的に勝負強くなるイメージです。
この理論の考え方は、投資などのファイナンスにおいても有効です。
投資の世界でもミス(損)をしない事を優先に心がける事で結果的に勝利(利益)に大きく近づきます。
投資で一番やってはいけない事は、今ある運用資金を全て失ってしまい、投資の継続が出来なくなってしまう事です。
投資の世界は、会社員の方が何十年間も一生懸命働いて貯めたお金が1日でパソコンの数字の上だけで消えて無くなる事もある狂った世界です。
運用資金を失って投資を継続出来ないとこれまでに積み重ねてきた投資の経験値も無駄になってしまいます。
世界経済は、グローバルで世界的につながっているため海外の銀行の倒産によって関係ないように見える日本のマーケットが大きく下落する事もあります。
定期的に訪れる相場の急落を個人投資家が乗り越えるためには、常にリスクヘッジに対する意識を継続して強く持ち投資することが大切です。
ロングショート戦略は、常に相場の上下変動をリスクヘッジした王道の投資戦略です。
リスクヘッジの重要性
個人投資家の多くが投資で負けてしまう最大の理由は、リスクヘッジをしていない事にあります。
個人投資家に多い投資の失敗例が次の通りです。
【個人投資家の失敗までの流れ】
- 最近、株価上がっているとニュースで知る
↓ - 知り合いが投資で儲かったという話に興味を持つ
↓ - 自分も株式投資やFXなどに挑戦して銘柄を購入
↓ - 購入した銘柄が値上がりして利益になる
↓ - まだまだ値上がって儲かると思い込み多額の資金で投資
↓ - 相場は天井を付けて、その後して急落で大損して退場
一般的な個人投資家は、株が上がっているという情報をニュースなどで聞き、金融市場に参加しますが、世間でそのような情報が賑わい出した頃は、金融市場は、既に加熱気味で相場の天井に近いケースがほとんどです。
金融市場は、上昇よりも下落のスピードの方が早く、1度の金融市場の混乱で大きく損失を出して金融市場から退場してしまうケースがとても多いのです。
今後も相場の短期的な急落は、定期的に起こる事です。
相場が急落するたびに大きく損をして後悔していては、投資を継続する事は出来ません。
投資で長期的に結果を出すには、上昇相場も下落相場も生き残る必要があります。
上昇相場でも下落相場でも金融市場の変動に関係なく安定して利益が狙える投資戦略がロングショート戦略です。
ロングショート戦略は、色々な種類がありますので、ご自身にあったやり方で下落相場でも影響を受けない安定した投資戦略を目指してください。
メリットその1 リスクが少ない(リスクヘッジ)
ロングショート戦略は、「買い=ロング」と「売り=ショート」のお互いの損益が相殺される事で金融市場の価格変動リスクがヘッジされて小さくなります。
片張りの取引に比べるとロングショート戦略の日々の損益推移は、非常に穏やかです。(リスクが低い)
これがロングショート戦略の最大のメリットです。
損益の推移が穏やかな事で投資を長く継続する事が出来るため個人投資家の経験値は積み上がり、投資レベル全体の向上にもつながります。
メリットその2 相場の上下変動が関係ない
ロングショート戦略は、相場全体の上下変動をほとんど受けません。
株式ロングショートの場合、株式相場全体が上がっても下がってもロングショートの損益にはほとんど影響はありません。
一般的な「買い」だけの片張り投資では、予期出来ないテロや地震などの自然災害のような突発的な事象によって、株式市場が大暴落した場合、大きな損失となります。
しかしロングショート戦略では、下落の際にも空売り(ショート)銘柄が利益となるので相場全体の上下変動は、気にしなくても良いのです。
メリットその3 心理的ストレスが少ない
ロングショート戦略は、相場の変動を抑え、リスクヘッジした投資です。
日中の仕事中に「日経平均株価暴落!」というニュースタイトルが目に入っても特に心配する必要はありません。
相場が気になって仕事やプライベートなどで、目の前の事に集中が出来ない事もなくなります。
投資において多くの方が悩みを抱えている心理的なストレスが、ロングショート戦略では大きく軽減されるので常に冷静に投資を継続する事が可能です。
メリットその4 忙しい人でも実践可能
ロングショート戦略は、日中パソコンの前に張り付いてモニターを見続けながら、短期的に勝負するタイプの投資手法ではありません。
ロングショート戦略は、1日に1回程度を確認するだけでも十分に取引可能です。
株式市場が開いているザラ場(9時~15時)に株価を確認する必要もありません。
日中の仕事が終わった後に落ち着いてゆっくりと投資選定を行ない、翌日の寄り付き注文を出しておけば、日中仕事をしている会社員の方でも、ロングショート戦略を行なう事は十分に可能です。
メリットその5 投資のタイミングが関係ない
多くの個人投資家は、投資する銘柄選びは、慎重に時間をかけて行いますが投資は、銘柄選定よりもタイミングの方が重要です。
例えば、リーマンショック前の高値に現物株で投資をしていた場合、どんなに優良株を買っているプロ投資家でも翌年に大きな損失になっています。
逆にリーマンショックの底値で初心者が適当に買った株は、その後、大きな利益になります。
通常の買いの投資は、銘柄選びに関係なく、結局のところ投資するタイミングよって投資の勝敗は決まってしまうのです。
しかしロングショート戦略であれば、リーマンショックの前であっても現在の株価の位置に関係なく、いつでもロングショート戦略の取り組みをスタートすることが可能です。
デメリットその1 短期的に大儲けは出来ない
ロングショート戦略は、短期的に大きな利益を狙うことは出来ません。
買いだけの片張り投資の場合、仕掛けている銘柄が相場のトレンドと大きく噛み合えば、短期的に大きな利益を獲得する事が可能です。
しかしロングショート戦略では、相場が一方向に推移した場合は、基本片方の銘柄が損失となって変動をヘッジしているため、損益の変動は穏やかに推移します。
もし仮に1年間で資産を2倍にするような運用方針を立てている場合、ロングショート戦略で目標を達成する事は、極めて困難です。
ロングショート戦略の年間のリターンは±10~30%くらいをイメージしてください。
デメリットその2 取引コストがかかる
ロングショート戦略は、買いと売りを両建てセットにして仕掛けを行なうため、通常の片張り取引には発生しない取引コストがかかります。
株式を例に説明すると買い銘柄は、現物取引で良いのですが、空売りを行なう銘柄は信用取引です。
信用取引で空売りをする際には「貸株料」や取引量の少ない銘柄を空売りする際には「逆日歩」というコストが発生する可能性もあります。
投資結果は、売買手数料などのコストも含めて、トータル損益で考える必要があります。
ロングショート戦略は、対面営業で手数料の高い総合証券会社ではなく、ネット証券を使い出来るだけ売買手数料の安い証券会社をご利用ください。
デメリットその3 まとまった投資資金が必要
ロングショート戦略は、ある程度まとまった運用資金がないと実践する事ができません。
ロングショート戦略をスタートするには、最低100万円は、ご用意することをお勧めしております。
株式投資では、単元株という最低の売買単位が銘柄によって違い、最低の投資金額も異なります。
投資銘柄の中には500万円くらいないと投資出来ない銘柄も存在します。
ロングショート戦略は、数万円の小額から気軽にスタート出来る投資戦略ではありません。
デメリットその4 信用取引口座の開設が必要
個人投資家がロングショート戦略を取る場合には、ショート(売り)したい金融商品によって口座の環境を整える必要があります。
- 株式:証券口座開設とは別に、信用口座の開設が必要
- 先物:口座開設で売り(ショート)可能
- FX:口座開設で売り(ショート)可能
- CFD:口座開設で売り(ショート)可能
株式の場合は、信用取引口座の開設が必須です。
信用取引口座は、投資経験や金融資産の一定基準を満たしていない投資家は審査に落ちて信用取引口座を開設できない可能性もあります。
デメリットその5 ロングショート戦略に関する情報が少ない
日本の個人投資家でロングショート戦略を理解出来る方は、非常に少数です。
「知らない」方がほとんどですが、聞いた事がある方でも「仕組みが分からない」方も多いです。
そのような経緯から個人投資家向けのロングショート戦略に関する情報や分析サイトは充実しておりません。
またロングショート戦略の仕組みやメリットを理解している投資家でもロングショート戦略に特化したツールがないと実践する事は困難です。
そんな個人投資家にロングショート戦略が実現出来るツールが「サヤトレ2.0」です。
ロングショート戦略の種類
買い(ロング)と売り(ショート)を同時に保有するロングショート戦略は「投資対象」「投資対象数」「投資期間」「売買保有の比率」「投資のタイミング」など両建て戦略の応用によって様々な呼び方が存在しています。
ロングショート戦略の別名例
- 「サヤ取り」「ペアトレード」「ストラドル」「スプレッド」
- 「レラティブ・バリュー」「マーケットニュートラル」
- 「裁定取引」「アービトラージ」
上記は、全て買いと売りを同時に保有するロングショート戦略です。
戦略名称の明確な定義が存在していない部分も多いですが、代表的でよく活用されるロングショート戦略を中心に解説します。
サヤ取りの解説
サヤ取りは、ロングショート戦略の中でも王道な両建て売買です。
買い(ロング)と売り(ショート)を両建てした際の2銘柄の価格のサヤが投資の損益結果になる事から「サヤ取り投資」と呼ばれています。
価格推移の連動性が高い(相関性の高い)2つの銘柄を両建てすることによって、相場全体が一方向に推移した場合でも2銘柄の損益は相殺されるため、金融市場全体の価格変動リスクを軽減しながら運用を行なうことが可能です。
下落相場では買い保有している銘柄は、損失になりますが、同時に売っている銘柄が利益となり両建ての損益合計は相殺される仕組みです。
2銘柄のサヤ取りに関しては、弊社が運営している2銘柄特化のサヤ取りサイトがあります。
そちらにサヤ取りに必要なシステムと情報が充実しているのでご参考にしていただければ幸いです。
また弊社にてサヤ取り投資に関する書籍も出版しております。
初めての方でもサヤ取りが分かるように両建て売買の基礎から順序立てて解説しているのでお読みいただければ幸いです。
サヤ取りの実例
- 買い:三菱UFJ 保有比率50%
- 売り:三井住友 保有比率50%
- 買い:日経平均先物 保有比率50%
- 売り:TOPIX先物 保有比率50%
株式ロングショートの解説
株式ロングショートは、海外ヘッジファンドが最もよく使う投資戦略です。
投資の世界において投資技術と実績の最高峰がヘッジファンドです。
そのヘッジファンドが利用する投資戦略ですが、投資環境が充実した現在では、個人投資家が株式ロングショートを実践する事は十分に可能です。
株式ロングショートは、サヤ取りと非常によく似ておりますが2戦略の違いは次のようなイメージです。
サヤ取りと株式ロングショートの違いのイメージ
- サヤ取り:2銘柄のサヤチャートの形を重視したロングショート
- 株式ロングショート:2銘柄の個別分析を重視したロングショート
買いと売りを両建てする事は、どちらも同じですが株式ロングショートは、サヤチャートの形状などは意識する事なく単純に「上がる銘柄を買い」「下がる銘柄を売る」戦略です。
何を買って、何を売るかの銘柄選定が株式ロングショートでは重要です。
一般的に株式ロングショートは「割安な銘柄を買い」・「割高な銘柄を売る」構成が多く、そのような基本形のロングショートを「レラティブ・バリュー」と呼ぶこともあります。
株式ロングショートのイメージ
- 上昇が期待される銘柄を買い(ロング)
- 下落が期待される銘柄を売る(ショート)
また株式ロングショートは、サヤ取りのように2銘柄の組み合わせペアのような考え方はせずに2銘柄以上複数銘柄を同時に両建て保有する事もあります。
また必ずしも買いと売りの比率を50:50にするとも限らず、相場全体のトレンドを見て買いと売りの保有比率を変えるケースもあり戦略は幅広く応用可能です。
株式ロングショートの保有イメージ(買い60%:売り40%)
- 買い:銘柄A 保有比率20%
- 買い:銘柄B 保有比率20%
- 買い:銘柄C 保有比率20%
- 売り:銘柄D 保有比率20%
- 売り:銘柄E 保有比率20%
株式ロングショートは、将来株価の上昇が期待される銘柄を買いながら同時に下落が期待される銘柄を売り、相場の変動をヘッジしつつも相場全体のトレンドを見て買い売りの保有比率を変更しながら収益を狙います。
株式ロングショートの実例
上昇トレンド予想(買い60%:売り40%)
- 買い:トヨタ自動車 保有比率20%
- 買い:三菱UFJ 保有比率20%
- 買い:NTTドコモ 保有比率20%
- 売り:日本郵政 保有比率20%
- 売り:三井住友 保有比率20%
下落トレンド予想(買い40%:売り60%)
- 買い:キーエンス 保有比率20%
- 買い:本田技研工業 保有比率20%
- 売り:ソニー 保有比率20%
- 売り:キヤノン 保有比率20%
- 売り:みずほ 保有比率20%
マーケットニュートラルの解説
相場全体の変動(β)を極力排除して中立な状態を目指し、買い銘柄固有の変動(α)を積み重ねて安定収益を目指すロングショート戦略をマーケットニュートラルと呼びます。
マーケットニュートラルは、相場全体の値動きとなるインデックス指数(日経平均やTOPIX)を空売りして、今後値上がりを予想する個別銘柄に分散して買うのが一般的です。
マーケットニュートラル戦略のイメージ
- 売り:TOPIX 保有比率50%
- 買い:銘柄A 保有比率10%
- 買い:銘柄B 保有比率10%
- 買い:銘柄C 保有比率10%
- 買い:銘柄D 保有比率10%
- 買い:銘柄E 保有比率10%
上記のように日経平均やTOPIXのようなインデックス指数を売る事で個別株の値動きからβ(ベータ)と呼ばれる株式市場全体の値動きを除外します。
個別銘柄の値動きからβ(ベータ)を除外した部分をα(アルファ)と呼びます。
マーケットニュートラルは個別銘柄のαを積み上げて利益を狙う投資戦略です。
マーケットニュートラルで運用を行なっている際にリーマンショックのように金融市場が暴落して金融市場が50%も大きく下落したとしましょう。
買い保有の5銘柄は、損失となり50%程度大きく損をします。
しかし同時に空売りしているTOPIXは50%程度の大きな利益になっております。
損失と利益が相殺してヘッジされ安定した投資結果となります。
つまり個別銘柄を買い、インデックス指数を売る事によって個別銘柄の変動から暴落という全体の上下変動を差し引いたイメージの投資結果になるのです。
買い保有している個別株銘柄のパフォーマンスが売りのインデックス指数の成績を上回る(アウトパフォーム)ことで、マーケットニュートラルは利益になります。
言い換えるならば、日経平均やTOPIXの成績を上回る銘柄を選定する能力があれば、暴落に関係なく安定して利益を狙える運用が出来るのです。
マーケットニュートラルの実例
- 売り:TOPIX 保有比率50%
- 買い:トヨタ自動車 保有比率10%
- 買い:三菱UFJ 保有比率10%
- 買い:日本郵政 保有比率10%
- 買い:キーエンス 保有比率10%
- 買い:NTTドコモ 保有比率10%